海洋ゴミ楽器大図鑑

 


フネンゴニ


ゴミンゾクの中で、一番最初に生まれた楽器。

 

西アフリカ、ギニアに伝わる『カメレンゴニ』という

アフリカン ハープリュートを元に海洋ゴミで作ったので、

”不燃ゴミ” にちなんで 『フネンゴニ』と名付けました。

 

どんな音が出るの?


弦は左右それぞれ6本ずつの計12本。

流木の棹に繋がれた釣り糸の振動が、ブルーシートを伝ってブイの中で増幅され

ブイに空けたサウンドホールから音が出る仕組みになっています。 


主な材料

 

 

・漂着ブイ

・流木(アカマツ)

・釣り糸

・漁業用ロープ

・平ゴム

 etc...

 


ブイとネックになる流木は愛知県の河口付近

漁業用のロープやネックを止めるための平ゴムは石川県の砂浜

弦になる釣り糸は愛知県の河口の釣りスポットで絡まっていたものを採取しました。

 


制作風景


 

まずは漂着ブイの上部をカットし、ネックになる流木を挿すための穴とサウンドホールを空けます。

そしてブルーシートを鋲で留めるための下穴を細いドリルでデザインに沿って空け、

ブルーシートをピンと伸ばしながら太鼓を作る要領で張っていきます。

 


 

次に、最終的に張る弦の弦圧にブルーシートが耐えられるようにするためと、

この楽器を弾く際に持ち手になる部分を作るために、竹をブルーシートに4方向から挿していきます。

手にフィットさせるため持ち手部分の竹は熱を加えて曲げておきます。

そしてネックにする流木を本体に挿します。

 


 

最後にネックのお尻に漁業用ロープを縛り、流木で作った駒に釣り糸を通して

ネックにつけた金属製のペグに巻き付けます。

黄色の低音弦は、細い釣り糸を7重にねじり上げて作っています。

弦の振動がこの駒からブルーシートに伝わり、

ブイの中で増幅されることにより、ふくよかな音色が出る仕組みとなっています。

 


この楽器を通して

 

プラスチック製品はその頑丈さ、そして加工技術の向上から

時代と共に自然素材にとって代わられてきました。

 

その自分たちにとっての『当たり前』をもう一度考えるべく

海に打ち捨てられていたプラスチック製品を

本来は自然素材で作られている民族楽器の材料に見立てて作ったのがこの楽器です。

海の世界から見た地上の世界をテーマに作りました。

 

ブルーシートとブイのボディは海

棹(ネック)の流木は大地

弦の黄色い釣り糸は光

一番上の浮きは昇る太陽をイメージしています。

 

この楽器を通して感じていただける何かがあれば幸いです。