海洋ゴミ楽器大図鑑

 


魚頭琴(ぎょとうきん)


ゴミンゾク初の擦弦楽器。

 

モンゴルの伝統楽器、『馬頭琴』の

ヘッドの装飾をルアーの魚群で作ったので

『魚頭琴(ぎょとうきん)』と名付けました。

 

弓と弦は全て釣り糸から出来ています。

 

どんな音が出るの?


2本に見える弦は実はそれぞれ

向かって右の弦が60本、左が40本の細い釣り糸の束から出来ており、

同様に弓は黄色の釣り糸を120本束ねて釣り竿にひっかけて作っています。 


主な材料

・漂着ブイ

・ブルーシート

・釣り竿

・釣り糸(約250m)

・ルアー(魚形)

・流木




製作風景


 

まずは流木を削って頭部と棹と糸巻きを作ります。

頭部と棹は接着剤で完全固定。糸巻きはなるべく弦の張力に耐えられるように

木と木の摩擦をなるべく起こりやすくする為、精密に頭部の穴に合うように削ります。

 


 

棹が出来上がったら、お次は頭部の装飾です。

元になった楽器が『馬頭琴』で、本来頭部の装飾は馬の形になっているのですが

この楽器は『魚頭琴』。頭部の装飾を魚の形をしたルアーを使って作ります。

ルアーにはほとんどの場合、内部にラトルと呼ばれる音を鳴らすための鉛が入っているので

ルアーの腹部に穴をあけて、鉛を取り出します。

そして、重ねるようにルアーを楽器の頭部に接着し、魚群に見える様に配置していきます。

 



 

胴には石垣島のビーチクリーンをされている方からいただいたブイを使用。

青いブイはとても珍しく、希少品なので加工の際は緊張が走りました。

ブイの上部をカットし、鋲でブルーシートをピンと張っていきます。

 


 

そして、この楽器の肝である弓と弦を作ります。

まずはもじゃもじゃに絡まった釣り糸を数日かけて解くところからスタートです。

弓は釣り竿をベースにしてに黄色の釣り糸を約120本束ねたもの、

2本の弦は滝の流れに見える様に青・水色・透明の釣り糸を織り交ぜて

それぞれ約40本・60本づつ束ねたもので作りました。

こうする事により、独特のかすれた音色が生まれるのです。

 

  

これらの部材を組み立てたら完成!

 

この楽器は構想から完成まで約1年を要しました。

要因は、釣り糸の色にこだわったためです。

 

必要な細い釣り糸のねらい目は、小魚が釣れる河川敷の釣り場。

マグロなどが釣れる区域になると釣り糸はどんどん太くなります。

 

ゴミ拾いをしている際には必ず釣り糸がどこかに落ちていないか

 探すほど気を配っていたのですが

それでも、楽器になる釣り糸が揃うまで半年以上かかりました。

 

そしてもう1点が胴体になる部分の素材の選定でした。

実はこの楽器は音が良くなる胴体を探し当てるために

何度も変更しており、

ようやくブイとブルーシートの組み合わせに落ち着きました。

 

未知のジャンルには実験が必要不可欠です!

 



おまけ

~  魚頭琴のボディの変遷  ~

愛知県の河川敷で拾った

貯水槽(?)のフタ(緑)→

日本産の

水用のポリタンク(白)→

韓国生まれの

過酸化水素ポリタンク(青)→

韓国生まれ

石垣島育ちのブイ(青)