海洋ゴミ楽器大図鑑
このスティールタングドラムは
フロンガスの廃タンクを加工し
切り込み(タング)を入れて音階を作りました。
ひとつのガスタンクに複数の切り込みを入れているため、
隣接するタング同士の音が影響し合います。
そのため音階の配列はドレミ順ではなく
響きの相性を重視した、特殊な配列になっています。
金属の舌が響き合う音色は
澄んでいて柔らかく、どこか瞑想的です。
・フロンガスのタンク(R-22) 2台
・割り箸 2本
・スーパーボール 2個
※ゴミンゾクでは、行政や業者の許可を取ってこのタンクを入手しています。
大変危険なので、絶対にまねをしないでください!
今回使用したフロンガスのタンクは、
海辺でも比較的よく見かける フロンガス(R-22)のタンク です。
前提としまして、ゴミンゾクでは、ほぼ空になったものを
フロン回収を行える専門業者に依頼し、残留ガスを回収していただいたもの を使用しています。
(※フロンガスを勝手に大気中へ放出することは、フロン排出抑制法 などにより規制されています。)
まずは、ガス回収を終えたタンクの 持ち手部分 と
ガスの注入口周辺 を切り落とします。
次は、タンクの中心から切れ込みを入れる位置をある程度測るため
中心を基準に同心円と放射状のガイド線を描きます。
円は8等分し、切れ込み(タング)を入れるための型紙を貼り付けます。
今回、音の配列はブラジルのタングドラムメーカー
『disco soador』さんにご協力いただきました。
タングドラムは構造上、隣接している切れ込みもわずかに共鳴してしまうため
共鳴を前提に、協和するように音を配置しています。
(例:オクターブを各切込みのすぐ外側に。ドミソを隣接する箇所になど。)
あとは、ディスクグラインダーとジグソーを使って、切り込みを入れていきます。
切りすぎると元には戻せないため、
切り込みを少しずつ深くし、音程を確認しながらチューニングしていきます。
チューニングがある程度終わったら、不要な部分を切り落とします。
今回は、より残響効果を増すために、2台目のタンクで裏面も作ります。
裏面には、全く同じ配置を鏡写しにして切り込みを入れ、
あとでドッキングさせた際に、真裏に同じ音程のタングが重なるように仕上げます。
後は、ドッキングさせるだけです。
本来は溶接が必要ですが、今回は奇跡的に
微妙なサイズ違いのタンクが手に入ったため、
茶筒の様な感じでぴったりと二つのタンクが重なり合いました。
これで、本体は完成です!
このガスタングは、ゴミンゾク初の すべてが金属でできた楽器 です。
ピアノの白鍵(Cメジャースケール)に沿った音程で
ほぼ2オクターブが演奏できます。
全国の海で割と見かける
このタンクの存在を知ってもらう意味もあり
今回製作に至りました。
もし海でこのタンクを見つけた場合は
絶対に個人で触ったりせず、管理する自治体などにご一報ください。
また先述の通り、フロンガスを勝手に大気中へ放出することは
フロン排出抑制法などにより法律で規制されています。
海でゴミを拾うことは
環境を守るために必要なことではありますが
この活動を続けて分かったのは
毒性のある液体が入ったポリタンクや注射器など
危険なものもたくさん落ちていることがあるということです。
実際に、フロンガスではありませんが、
爆発した形跡のあるプロパンガス(可燃性)のタンクも
たまに見かけることがあるので、見かけたらご注意を。
国土交通省がガイドラインを作ってくださっていますので、
ぜひ参考にしてみてください。
参考:
海岸漂着危険物対応ガイドライン(国土交通省)
https://www.mlit.go.jp/common/000053408.pdf
素手で叩いても音は鳴りますが
割り箸の先に拾ってきたスーパーボールを取り付けたマレットで叩いてみたところ
とてもきれいな音が出ました。
そのため、ゴミンゾクではこのマレットを2本使用しています。
新品のスーパーボールに比べて
拾ったスーパーボールはゴムが少し硬化しているため
柔らかさの中にも、ほどよいアタックのある音になります。
拾った素材だからこそ出る音も、この楽器の魅力の一つとなっています。